哲学こぼれ話

哲学について、思うことをつらつらと…

「誰も一生かかっても、否何度生まれなおしても卒業できるようなものではない」哲学こぼれ話㉓

 

挿話の余話。

 

話を先取りしますが、先生の遺稿の中に、田辺元先生とのやり取りやソ連(ロシア)が交渉もできない相手であるなど短いエピソードがあったのですが、私は割愛しました。

 

そのことを今深く反省しています。

 

田辺先生については、先生とのやり取りの手紙もたくさんあったのに、田辺元全集の編集者から何の連絡もないままだと聞いていました。そして先生はご自分の全集を出すことを強く願っておられました。蔵書全部を寄付するから、全集を出してくれる大学はないだろうかと言ってもおられました。


 私の口語訳とは別にやがて先生が望んでいたような形の本が『アリストテレスの倫理思想』として岩波書店から出たので、私自身の言葉でまとめたアリストテレスの論文(内容的には『アリストテレス倫理学』に新しいものを何も加味していない)をこの著者である岩田靖夫先生や存命中の恩師がたにお送りし見ていただきました。

 


 

岩田先生から丁寧なコメントをいただき、その後学会でもご挨拶し生前ずっと年賀状もいただきました。服部先生からは池田康夫先生にも紹介いただきました。

 

池田先生に「アリストテレス倫理学をまだ卒業できずにいます」と言ったら、お手紙で「誰も一生かかっても、否何度生まれなおしても卒業できるようなものではない」と注意されたことがあります。

 

何千年に一人の大天才が、この時のギリシャに続いたのですが、無知でした。

 

以後学会で若い研究者が、ひと言か二言で、プラトンアリストテレスの否定をするのを聞くとそのあとの発表は聴く必要がないと思いました。

 

この池田先生には文通だけでお目に掛かれませんでした。

 

池田先生から「山田晶先生の本を読破するのに水に足をつけながらやっている」とお聞きしたことがありました。安藤先生の『アリストテレス研究 認識と実践』も読んでいただくべきでした。

 

続く

 

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